3大銀行グループは2017年11月、今後数年間で人員体制を3万人ほど縮小するといった構造改革方針を打ち出した。
何故か――。その深層に迫るために、3大銀行グループにおけるそれぞれの中核企業、三菱東京UFJ銀行、みずほ銀行、三井住友銀行の単体ベースの業績推移を確認してみる。
最終利益である純利益は、三菱東京とみずほが下降傾向である。リーマンショック以後のピークからはおよそ3割減の水準。三井住友は、預金量は3行のなかでは最も少ないが、純利益はトップを維持。リーマンショック以後のピーク比でも6%増である。臨時雇用者を含む従業員は三菱東京が減員、みずほと三井住友が増員での推移であり、人件費の推移も同様である。三菱東京の17年3月期人件費4043億円は、15年3月期4556億円からは493億円、率にすると12%に迫る減額だ。
三井住友は貸出金でみずほを逆転しているが、3行全体でいえば、預金量は拡大、貸出金は横バイで推移しているといっていいだろう。
預金量と預金利息総額、貸出金と貸出金利息総額からそれぞれ率を計算したが、預金利息はほぼゼロにもかかわらず、貸出金利から預金金利を差し引く預貸金利回り差(利ざや)は縮小傾向である。
短期金利をマイナス0・1%、長期金利を0%程度に誘導するという日銀の超低利金利政策の影響が大きいことは明らか。14~16年度における貸出金利息と預金利息の実際の差額は以下の通りである。
三菱東京
「8746億円→8189億円→8724億円」
みずほ
「7164億円→6680億円→6264億円」
三井住友
「9188億円→8873億円→8781億円」
そのほかの数値も確認しておこう。
■三菱東京UFJ銀行の主要指標の推移(単体ベース)
- 決算期 15年3月期
預金量 124兆5909億円
預金利息(%) 1120億円(0.089%)
貸出金 82兆7403億円
貸出金利息(%) 9867億円(1.192%)
人件費 4556億円
純利益 5717億円
従業員数 4万7700人
- 決算期 16年3月期
預金量 131兆9865億円
預金利息(%) 1413億円(0.107%)
貸出金 86兆6917億円
貸出金利息(%) 9602億円(1.107%)
人件費 4157億円
純利益 5860億円
従業員数 4万7264人
- 決算期 17年3月期
預金量 139兆1641億円
預金利息(%) 1649億円(0.118%)
貸出金 81兆3940億円
貸出金利息(%) 1兆373億円(1.274%)
人件費 4043億円
純利益 4814億円
従業員数 4万6683人
■みずほ銀行の主要指標の推移(単体ベース)
- 決算期 15年3月期
預金量 93兆5283億円
預金利息(%) 908億円(0.097%)
貸出金 70兆8738億円
貸出金利息(%) 8073億円(1.139%)
人件費 2899億円
純利益 4231億円
従業員数 3万7300人
- 決算期 16年3月期
預金量 100兆1970億円
預金利息(%) 1339億円(0.133%)
貸出金 70兆3743億円
貸出金利息(%) 8019億円(1.139%)
人件費 3015億円
純利益 4902億円
従業員数 3万8264人
- 決算期 17年3月期
預金量 107兆7898億円
預金利息(%) 1943億円(0.180%)
貸出金 71兆2628億円
貸出金利息(%) 8208億円(1.151%)
人件費 3203億円
純利益 3425億円
従業員数 4万1220人
■三井住友銀行の主要指標の推移(単体ベース)
- 決算期 15年3月期
預金量 91兆3377億円
預金利息(%) 715億円(0.078%)
貸出金 68兆2743億円
貸出金利息(%) 9904億円(1.450%)
人件費 3125億円
純利益 6430億円
従業員数 3万4157人
- 決算期 16年3月期
預金量 98兆8397億円
預金利息(%) 932億円(0.094%)
貸出金 69兆2767億円
貸出金利息(%) 9806億円(1.415%)
人件費 3225億円
純利益 6091億円
従業員数 3万5914人
- 決算期 17年3月期
預金量 105兆5907億円
預金利息(%) 1428億円(0.135%)
貸出金 75兆5852億円
貸出金利息(%) 1兆210億円(1.350%)
人件費 3320億円
純利益 6817億円
従業員数 3万7153人