どうなる銀行①―3大銀行はなぜ構造改革を打ち出したのか?

3大銀行グループが相次いで大規模リストラ方針を打ち出した。背景を探ってみる。

 

三菱UFGフィナンシャル・グループ(FG)

対象事務量の30%(9500人分相当)を減少するなど、23年度までに6000人程度の人員を削減

 

みずほフィナンシャルグループ(FG)

24年度末までに信託や証券なども含む国内拠点の2割に当たる100拠点を削減。26年度末までにグループ従業員7.9万人(17年3月期、含む臨時職員)を1.9万人削減

 

三井住友フィナンシャルグループ(FG)

4000人分の業務量削減。

19年度までに全430店舗の次世代店舗化を完了。

時間外労働の削減や退職者補充の抑制で経費を3か年で500億円削減。

 

3大銀行グループが2017年11月に打ち出した、構造改革の概要である。

退職者補充の新規採用を抑制するなど自然減が中心になるとはいえ、今後6年から10年で、3大銀行グループは、合計で3万人ほど人員体制を縮小することになる。

将来的に稼ぐ力の弱体化が避けられないと見ているからだ。急激に業績が悪化しているわけではないが、リーマンショックによる赤字転落を克服し、2010年3月期以降、基本的には右肩上がりで伸ばしてきた当期純利益が、ここにきて下降に転じているのは事実。18年3月期の中間決算時における通期予想も、目標値を示している三菱UFJFGはともかく、みずほFGと三井住友FGは、17年3月期と比較して減額である。

人海戦術でボーナスの預金獲得競争を繰り広げた時代は、遠い昔のこと。収益が見込める運用先がなければ、預金量の拡大は重荷になるだけだ。預金という名目で資金を集め、それを元手に融資を実行して収益を得るという、銀行のビジネスモデルはもはや、崩壊寸前といっていいだろう。

スマホによる決済やブロックチェーン技術を元にしたフィンテックなど仮想通貨の普及で、これまで担ってきた決済業務が消えかねない状況だ。ロボットはじめとしたAI(人工知能)の導入など、機械化・自動化で銀行業務が激変するのも不可避。銀行の構造改革は必然なのである。

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