東京電力本社
主要企業の納税額と配当金 その2
日本の主な大企業について、キャッシュフロー(CF)計算書で開示している納税額と自社株配当金をチェック。今回は5期平均で調べてみた。
※カッコ内の4桁数字は証券番号
●株主重視の企業は?
12年度~16年度の5期平均の納税額と配当金を表にしてみた。
納税額トップは、トヨタ自動車(7203)である。同社はこの5年間、毎年7327億円平均で納税していたことになる。
三菱UFJフィナンシャル・グループ(FG/8306)、三井住友FG(8316)、それにソフトバンクグループ(9984)が、平均で3000億円台の納税額で続いている。
この5年間、毎年平均1000億円台の納税をしていたのは、ホンダ(7267)、日産自動車(7201)、 日立製作所(6501)、ソニー(6758)、パナソニック(6752)、セブン&アイHD(3382)、キヤノン(7751)、ブリヂストン(5108)、みずほFG(8411)である。
イオン(8267)と東芝は700億円台、野村HDは700億円弱、新日鉄住金は600億円弱である。
原発事故を起こし、無配に転じている東京電力HDの納税額は、この5年、227億円平均である。
当然といえば当然といえよう。年平均の支払配当額トップは、トヨタ自動車である。
注目したのは、キヤノンだ。同社は、16年度でもそうだったが、5期平均でも配当金が納税額を上回っており、株主重視が際立っているといっていいだろう。
日産自動車の場合も、配当金が納税額にほぼ並ぶ水準であり、株主重視企業と判断できる。トヨタ自動車も、5期平均の配当総額は税額の7割弱の水準だ。普通株に以外に種類株を発行するなど、株主重視企業と見ていいだろう。
5期平均で見ると、ソフトバンクグループは、納税額3123億円に対し配当金は510億円である。数兆円規模の大型買収を何度も手がけ、10兆円規模の投資ファンドを設立するなど、経営トップの孫正義氏個人を含め、常に話題の中心になっている割には、支払配当金は地味な印象だ。
■主要各社の5期平均の納税額と配当金
会社名 納税額 支払配当金
トヨタ自動車 7327億円 4970億円
ホンダ 1912億円 1503億円
日産自動車 1534億円 1363億円
日立製作所 1442億円 532億円
ソフトバンクグループ 3123億円 510億円
イオン 771億円 236億円
ソニー 1069億円 203億円
パナソニック 1091億円 328億円
三菱UFJFG 3628億円 2331億円
セブン&アイHD 1242億円 650億円
東京電力HD 227億円 0円
三井住友FG 3073億円 1786億円
東芝 735億円 101億円
新日鉄住金 590億円 305億円
キヤノン 1026億円 1564億円
ブリヂストン 1046億円 695億円
みずほFG 1806億円 1732億円
野村HD 689億円 495億円